「郵送費が上がったので、誕生日や季節のはがきをLINEに変えたい」「一度LINEにしてみたけれど、結局はがきに戻った」。動物病院の院長先生から、こうしたご相談をいただくことがあります。
はがきのDMをLINEに変えて続けられるかどうかは、LINEという道具よりも、院内で「誰が・いつ・何を送るか」が決まっているかで分かれます。はがきをやめるか続けるかの二択ではなく、案内の種類で使い分けるのが現実的です。
この記事で分かること
- 動物病院のはがきDMをLINEに変えて、うまくいく病院と、はがきに戻る病院の違い
- はがきとLINEの向き不向きと、スタッフの手間を増やさない仕組み(担当・タイミング・ひな形)
- 友だち登録を増やす受付での声かけと、ワクチン・フィラリア・健診に合わせた1年の配信の目安
動物病院のはがきDMをLINEに変えると、何が変わる?
LINEに変えると、郵送費と印刷・宛名貼りの手間が減り、案内を送る日を自由に決められるようになります。一方で、届けられるのは病院のLINE公式アカウントに友だち登録している飼い主様だけです。
はがきの料金は、2024年10月1日に63円から85円に上がりました。誕生日や季節の案内を100枚送ると、はがき代だけで8,500円かかります。これに印刷や宛名を貼る時間が加わります。
LINE公式アカウント(病院が飼い主様にまとめてメッセージを送れる、事業者向けのLINE)は、2026年10月時点の料金プランでは、月額0円のプランでも月200通まで送れます。友だちの数がそれより多い場合は、月5,000円(税別)で5,000通まで送れるライトプランなどがあります。1人に1回送ると1通と数えるので、友だちが300人いる病院が全員に1回送ると300通です。
|
はがき |
LINE |
| 費用 |
1枚85円+印刷代 |
月200通までは月額0円。それ以上はプランの料金 |
| 届く相手 |
住所が分かる飼い主様全員 |
友だち登録している飼い主様だけ |
| 送る日 |
印刷・郵送の日数を見込む |
当日でも送れる。日時を決めて予約もできる |
| 手間 |
印刷・宛名・投函 |
文面を作って送るだけ(一頭ずつの案内は手作業になりやすい) |
LINEに変えたのに、はがきに戻ってしまうのはなぜ?
はがきに戻る理由で多いのは、「LINEにしたら、かえってスタッフの手間が増えた」ことです。LINEに変えたあとの作業を決めずに始めると、仕事が増えたように感じて、少しずつ送られなくなります。
当社がご相談を受けた中でも、郵送費の値上がりをきっかけに誕生日や季節の案内をLINEに変えてみたものの、スタッフの負担が大きく、飼い主様からの反応も少なかったため、すべてはがきに戻した病院がありました。その病院では今も、電子カルテから送る相手を書き出し、一件ずつ確かめ、印刷して貼り、郵送しています。院長先生の願いは「手間とはがき代の両方を減らしたい」でした。
はがきに戻る病院には、次のような共通点があります。
- 誕生日の案内までLINEで送ろうとした:LINEの登録名は、カルテの飼い主様の名前と同じとは限りません。一頭ずつの案内を送るには、カルテとLINEの友だちを一人ずつ照らし合わせることになり、はがきより手間がかかります
- 送る人と送る日が決まっていない:「手の空いた人が送る」では、忙しい時期に止まります
- 毎回、文面を一から考えている:配信のたびに文章を考えると、診療の合間には終わりません
- 友だち登録が少ないまま切り替えた:LINEで届く飼い主様が少ないと、来院につながっている実感が持てず、続ける理由がなくなります
当社がご相談を受けた病院では、LINEに変えてみたものの、スタッフの方から「面倒」という声が上がり、飼い主様からの反応も少なかったため、はがきに戻していました。院長先生は郵送費と手間の両方を減らしたいと考えていた一方で、実際に作業するスタッフの方には、新しい手順が増えたように感じられていたようです。
「面倒」と感じていた作業の候補
・LINEの登録名と、カルテの飼い主様のお名前を一人ずつ照らし合わせる作業
・誕生日など一頭ずつのメッセージを、1件ずつ打って送る作業
・LINEに届いた返信や質問に、診療の合間に答える作業
・はがきとLINEの両方で、送る相手を分けて管理する作業
はがきとLINE、それぞれに向いている案内は?
一頭ずつ内容が違う案内や、LINEに登録していない飼い主様への案内は、はがきが向いています。季節の予防のように全員に同じ内容を送る案内や、直前の念押しは、LINEが向いています。

はがきが向いている案内
- 誕生日の案内:名前や年齢を入れた一枚は、手元に残ります
- LINEを使っていない飼い主様への案内:ご高齢の方など、スマホでの連絡が負担になる方もいます
- 年に1〜2回の大事な案内:健診のおすすめなど、しっかり読んでいただきたいもの
LINEが向いている案内
- 季節の予防の案内:フィラリア・ノミ・マダニの予防の始まりなど、全員に同じ内容を送れるもの
- 直前の念押し:「予防の受付が混み合う前に」など、時期をずらさず送りたいもの
- 休診や診療時間の変更:年末年始・お盆・学会での臨時休診など、急ぎで知らせたいもの
両方を使い分けると、はがきの枚数は「LINEで届かない方」と「一頭ずつの案内」に絞られます。いきなり全部をLINEに変えるより、季節の案内からLINEに移すほうが、院内の負担が少なく続けやすくなります。
スタッフの手間を増やさずにLINEの配信を続けるには?
配信を始める前に、「担当」「送る日」「ひな形(そのまま使える文面の型)」の3つを決めておくことです。この3つが決まっていれば、配信のたびに考えることがなくなり、短い作業で済みます。
担当を1人決める
「みんなで送る」ではなく、配信の担当を1人決めます。休みのときに代わる人も決めておきます。担当の仕事は、ひな形の日付と内容を確かめて、予約することだけにします。
送る日を1年分、先に決める
季節の案内は、毎年ほぼ同じ時期に送るものです。年の初めに1年分の配信日をカレンダーに入れておけば、「今月は何を送るんだっけ」と考える時間がなくなります。LINE公式アカウントには、日時を決めて送る予約の機能があるので、まとめて準備しておくこともできます。
ひな形を用意しておく
案内ごとに、文面のひな形を作っておきます。毎回変えるのは日付と受付の期間くらいにします。
- 書き出し:季節のあいさつを1文
- 用件:何の案内か(例:フィラリア予防の受付を始めました)
- 行動:予約の方法、受付の時間、持ち物
- 締め:問い合わせ先
文面の下書きは、AIに手伝ってもらうこともできます。病院の情報と伝えたいことを渡して下書きを作り、最後は院長先生かスタッフが確かめて送ります。手順は「動物病院のAI活用 口コミ返信・求人原稿・院内マニュアルの下書き手順」で紹介しています。
はがきの作業も軽くする
はがきを残す分も、手間は減らせます。電子カルテから送る相手を表計算ソフトに書き出せる場合は、並べ替えや宛名の印刷までを決まった手順にまとめられることがあります。どこまでできるかは、電子カルテから出せるデータの形しだいです。
院長先生にまず確かめていただきたいのは、電子カルテから、送る相手の一覧を表計算ソフトのファイル(ExcelやCSV)で書き出せるかどうかです。あわせて、そのファイルにどの項目が入るか(飼い主様のお名前・住所・動物の誕生日・前回の来院日やワクチンの日付など)と、院内の誰がその書き出しの操作をできるかも見ておきます。
当社がこれまでご相談を受けた中では、電子カルテと別の仕組みを直接つなぐのは、製品の仕様や追加の費用の面で難しいことがありました。一方で、書き出したファイルを画面に入れるだけで、送る相手の絞り込み・並べ替え・宛名の印刷まで進める仕組みなら、現実的に作れる見込みが立ちます。どこまで軽くできるかは、書き出せる項目しだいです。なお、はがきをやめてメールやLINEに移るなら、その前に飼い主様の連絡先の登録を集めておく必要があります。
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LINEの友だち登録を増やすには、受付で何と声をかける?
友だち登録は、来院された飼い主様に、受付で「何が届くか」と一緒にお願いするのが自然です。ポスターを貼るだけより、スタッフが一言添えるほうが、登録する理由が伝わります。
声をかけるときは、登録すると何が便利になるかを具体的に伝えます。
- 「フィラリアやワクチンの時期になったら、LINEでお知らせしますね」
- 「臨時のお休みも、LINEですぐお伝えします」
- 「はがきの代わりに、LINEで受け取ることもできます」
声をかけやすくする工夫もあります。
- タイミングを決める:会計のとき、診察券を作るとき、など「この場面では声をかける」と決める
- QRコードを手元に:受付のカウンターや会計のトレーに、読み取りやすい大きさで置く
- はがきにもQRコードを載せる:はがきで案内を受け取っている方に、LINEでも受け取れることを伝える
- 登録してくださった方を記録する:「LINEで受け取る」と言ってくださった方は、カルテにも印を付けておくと、はがきを送る相手を絞れる
LINEは、受診のあとに口コミをお願いするときにも使えます。書き方の例は「動物病院の口コミを増やす方法と、悪い口コミへの返信の例文」にまとめています。
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動物病院の1年の配信は、いつ何を送ればいい?
1年の配信は、予防の時期に合わせて、その少し前に送るのが基本です。毎月送る必要はなく、季節の予防・健診・休診の案内を合わせて、年に数回から始めれば十分です。
| 案内 |
送る時期の目安 |
向いている方法 |
| 狂犬病の予防注射 |
今は毎年4〜6月に受ける決まり。その前の月に |
LINE(登録していない方ははがき) |
| フィラリア・ノミ・マダニの予防 |
地域の予防の始まりの少し前 |
LINE |
| 混合ワクチン |
病院が決めた接種の間隔に合わせて |
はがき(一頭ずつ時期が違うため) |
| 健康診断 |
病院が健診に力を入れる季節の前 |
LINE+高齢の子にははがき |
| 誕生日 |
誕生月の前の月 |
はがき |
| 年末年始・お盆の休診 |
2〜3週間前と、前日 |
LINE |
狂犬病の予防注射は、狂犬病予防法施行規則(厚生労働省の省令)が改正され、令和9年(2027年)3月2日から1年を通して受けられるようになります。毎年1回受ける決まりは変わりません。令和8年度(2026年度)は、これまでどおり4月から6月の間に受ける必要があります。厚生労働省は自治体に対し、改正後も4月〜6月を目安に3か月程度の「予防注射強化期間」を設けることを勧めているので、地域の案内の時期も確かめておきましょう。通年になったあとは、飼い主様ごとに時期が分かれていくことも考えられるので、案内の送り方を見直すきっかけになります。
フィラリアの予防を始める時期は、地域の気温によって違います。病院の地域と、院長先生の方針に合わせて決めてください。
まとめ
- はがきのDMをLINEに変えて続くかどうかは、「誰が・いつ・何を送るか」が決まっているかで分かれる
- 誕生日など一頭ずつの案内はLINEだと手作業が増えやすい。はがきに残し、季節の予防など全員への案内からLINEに移す
- 配信の前に、担当・1年分の送る日・ひな形の3つを決める
- 友だち登録は、受付で「何が届くか」と一緒にお願いする。はがきにもQRコードを載せる
- 狂犬病の予防注射は、令和9年3月2日から通年で受けられるようになる。案内の時期を見直すきっかけにする
まずは、今のはがきDMを「一頭ずつの案内」と「全員への案内」に分けて、全員への案内から1つだけLINEに移してみてください。病院の情報の伝え方を全体から見直したいときは、集客の支援もご覧ください。
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